多様性を尊重する社会に変化を続けている現代社会のなかでは、「セクシュアルマイノリティ(性的少数者)」や「LGBT」という言葉を聞いたことがある人も増えているでしょう。
今回は「ゲイ」というセクシャリティについて解説していきます。記事を通じてゲイの方についての理解を深めていきましょう。
【必読】基本を理解!性の捉え方について知ろう
性について考える時に「2つの認識」と「他者と関わる性」について知ることで私たちのセクシュアリティ(性のあり方)について捉えることができます。
性の捉え方について知ることは「LGBT」や「セクシュアルマイノリティ」について考える時の基本になる要素であり、大切なことなのでしっかり押さえておきましょう。
性別には2つの認識・・・「身体的性」【性自認】
性別には身体の骨格や内性器、外性器等の身体的な要素から性別を認識する「身体的性」があります。出生時に医者から性別を判断してもらうことが「身体的性」に該当します。
また、自分自身が認識している性のことを「性自認」と言います。「身体的性」と「性自認」が合う人がいれば、一致しない人もいます。一致しない人をトランスジェンダー(Transgender:性別越境者)と言います。「LGBT」の「T」に該当します。
他者との関わりの性・・・「性的指向」【性表現】
自分が恋愛感情や性欲を感じる相手がどんなセクシュアリティなのかということを「性的指向」と言います。
そして、他者と関わるなかで自分自身の服装や言動をどのように表現するか、社会から求められる性役割を【性表現】として考えています。「男らしさ」、「女らしさ」が性表現として表現される分かりやすい例になります。
現代社会では性に関することを男女の二択で捉えられることが多いですが、あらゆるセクシャリティの方が存在し、その方々の恋愛観もさまざまなのです。
【定義】ゲイ=男性として男性を好きであるセクシャリティ
前述した「2つの認識」と「他者と関わる性」から考えるとゲイ(Gay:男性同性愛者)の人のセクシュアリティは以下のようになります。
- 身体的性:捉え方は自由
- 性自認:男性
- 性表現:捉え方は自由
- 性的指向:男性
このような方は一般的に「LGBT」の「G」に該当し、ゲイと呼ばれています。ここでもう少し詳しく、捉え方は自由という部分に関して説明していきます。
身体的性や性表現の要素は関係ない?性自認と性的指向のみ
ゲイの人の身体的性と性表現の要素は自由です。男性的、女性的、男女に捉われない等、人それぞれです。ゲイであることで関わりがある要素は自分の性別である性自認と好きになる性的指向がともに男性であるということです。
つまり、ゲイの人達は性的指向が大多数の人達と異なるということです。レズビアン(Lesbian女性同性愛者)やバイセクシュアル(Bisexual:両性愛者)の人達にも同様に性的指向について多くの人たちと異なる指向ということになります。
「ホモ」や「オネエ」も同じ?整理して誤解を解こう!
「ホモ」は「ホモセクシュアル」という言い方で同性愛者のことを指す言葉として使われてきましたが、差別的な意味を込めて使用されることが多く、現在はゲイを使用することが多いです。「ホモ」という言葉を使用すると差別的な発言になってしまうので、気をつけましょう。
「オネエ」は女性的な言動をすることが多いゲイの人を指して使うことがあります。しかし、安易に使用すると差別的な言葉になりますので、使用するのは出来るだけ控えましょう。
【歴史】ゲイという言葉の起源~現代社会までの歩み
現在、男性同性愛者のことを「Gay:ゲイ」という言葉で表現しています。どうしてゲイという言葉が現在使われるようになったのでしょうか?
ゲイ以外に同性愛者を表現する言葉があったのか、ゲイという言葉の歴史的な背景を知ることで理解を深めましょう。
元々は「お気楽」「しあわせ」を意味!【性的な意味】へ変化
ゲイは日本では男性同性愛者を括る言葉として現代では用いられています。しかし、元々はゲイ(gay)という言葉は12世紀の古フランス語の「gai」が起源で「お気楽」や「しあわせ」という意味で用いられていたのです。
やがて、「お気楽」の意味の範囲に性的な意味が込められるようになりました。以降の諸説は様々ありますが、20世期後半になって現代使われている「Gay:ゲイ」の意味として用いられて現在に至っています。
海外では【同性愛者全般】の呼称!違法なものから合法へ
海外では「ゲイ:Gay」が同性愛者全般の言葉として20世期中頃から現在も用いられていますが、LGBTという言葉が広まるようになってからは男性同性愛者としてゲイを用いることが増えてきています。
同性愛の歴史は深く「犯罪→精神疾患→変態→人権」に変化を遂げています。1990年には同性愛はWHOの精神疾患リストから削除されています。
また、世界各地で同性婚を認める国々は増えてきており、同性愛は国や地域で様々ですが、違法から合法に変化を続けている状況です。
日本でもオープンになりつつある!カミングアウトする人も
日本でもセクシュアリティに関して徐々にですがオープンになってきています。国として同性婚が認められてはいませんが、地方自治体で同性パートナーシップを認める制度が広がってきています。また、国に対して同性婚を認める訴訟も全国各地で行われています。
セクシュアリティに関する取り組みがオープンになりつつあることに合わせて、自分のセクシュアリティをカミングアウトして生活をしている人も増えてきています。
気になる!ゲイについてのQ&A
ここまで、ゲイのセクシュアリティやゲイの歴史、語源に関してのお話をしてきました。
ここで、ゲイについての疑問や気になる3項目を答えていきます。ゲイについての理解をさらに深めていきましょう。
【疑問①】共通する特徴はあるの?人それぞれである!
ゲイだからといっても、様々な人がいます。「男性が好きな男性」であることは共通しています。
しかし、外見、内面、性表現等は人それぞれなので、接し方は個々で合わせる必要があります。
【疑問②】どんな悩みが多い?住まいなどの身近なことも
ゲイ同士が出会う場は都会に行くと数多くあり、自分に合ったコミュニティを選択できます。しかし、地方に住んでいるゲイの人達は出会いがなかなかありません。日常生活を営むために、ゲイであることを隠さないといけない状況になることも少なくありません。
住まいについては、地方自治体によってはパートナーシップ制度の基で生活している地域でパートナーの関係を認められている地域もありますが、国として男女間の夫婦と同等の権利が保障されているとはいえないのが現状です。
【疑問③】医学的には?病気ではなく治療の対象にならない
同性愛は以前では精神疾患として捉えられていたので、ゲイであることは病気だと考えられていました。しかし、1990年には同性愛はWHOの精神疾患リストから削除されており、まったく病気ではありません。
しかし、地方等で生活をしていて、ゲイ同士の出会いもなく、ゲイであることを誰にも言えず、孤独感を強く感じている方は多いでしょう。こういった現象がうつ病等を発症させ、二次的に病気になる可能性はあります。
人それぞれで自由!固定概念や偏見を持つのはNG
ゲイは男性が好きな男性ではありますが、ゲイと一言で括られるだけで、いろんな人達がいることは知っておくべきでしょう。
人は多種多様であり、十人十色です。ゲイに対しても偏見や固定概念は持つ必要はありません。ゲイとして生きている人を受け入れていきましょう。
今回はゲイについての紹介をしましたが、人が持っているセクシュアリティに間違いはありません。「セクシュアリティは人それぞれで自由」であることを覚えておきましょう。
いないから知らないはNO!ある程度の知識は持っていよう
自分の身近にゲイの人がいないから関係ないのではなく、ある程度の知識と理解は持っておきましょう。もしかすると身近にいる大切な友達がゲイなんてこともあり得ます。
勇気を出してカミングアウトしてくれた人に対して、偏見なしで受け入れられるように理解をもっていくことも必要です。
コメント