【LGBT知識】トランスジェンダーとは?性同一性障害とは異なる?定義や社会問題から気になる疑問まで徹底解説!

みなさんやまわりの方で「自分の性別がよくわからない」という方はいませんか?一般的には男性・女性という性別がありますが、この文章を読まれている方の中には「自分の性に合うものがない」と感じる方もいるかもしれません。

だんだんとトランスジェンダーや性同一障害という認識が社会に広がってきましたが、定義や違いを捉えにくいものです

今回はそんな2つの言葉の定義や違い、トランスジェンダーを取り巻く問題などをわかりやすくお伝えします

この記事を読み進めれば、生まれ持った性への違和感の正体がわかり、自分自身の理解がぐっと深まります。

【基本】LGBT理解の第一歩!性のあり方を表す用語解説

LGBTとは、セクシュアル・マイノリティ(性的少数派)の総称。4つのセクシャルマイノリティの頭文字をとった言葉です。

  • レズビアン(女性同性愛者)
  • ゲイ(男性同性愛者)
  • バイセクシュアル(両性愛者)
  • トランスジェンダー(性別越境者)

性について考えるときの切り口として身体的性・性自認・性的指向・性表現の4つの用語について詳しく説明します。

性別における2つの認識 ⇒「身体的性」【性自認】

「身体的性」とは、体の性別のことで、生まれた時に医師によって判断されて振り分けられます。生まれた時の外性器で男性か女性かを判断されますが、生殖腺・染色体なども異なります。

人によっては、男性と女性両方の外性器の特徴をもっているなどの性分化疾患というケースもあります。【性自認】とは、自分が感じている性のことで、身体的性と関係なく自分の感じ方で決まります。

性自認は男性だと思う人・女性だと思う人だけでなく、中性だと思う人、日によって変わる人・性別は決めたくない人など様々な認識の人がいます。性自認は本人に聞かないかぎり他人から見てわかるものではありません。

性における他者との関わり ⇒「性的指向」【性表現】

「性的指向」とは、どのような性別の人を好きになるかということです。異性を好きになる人、同性を好きになる人、どちらの性も好きになる人もいれば、恋愛感情や性的欲求が極端に少なかったり、持たなかったりもします。

【性表現】とは見た目の性別のことで、服装や身につけているもの、仕草などで周囲から「男性らしい」「女性らしい」と判断されます。性表現とは、自分のありたい性をどのように表現するかです。

トランスジェンダーとは?身体的性と性自認が関係する

トランスジェンダーとは「身体的な性と自分が認識している性別が一致していない状態」のことをいいます。

身体的性と性自認が一致していないからといって、全員が性転換手術を受けたいとおもっているとは限らず、いろいろな立場の人がいます。

トランスジェンダーはどのように定義をされているのか、立場も踏まえていくつかご紹介します。

【広義】クロスジェンダーやクロスドレッサーなども含む

トランスジェンダーを「身体的な性と性自認が一致していない状態や人全般を表す考え方」と定義した場合、クロスジェンダーやクロスドレッサー、トランスセクシュアルも含まれます。

クロスジェンダーとは認識している性が男性でも女性でもないことをいい、クロスドレッサーとは異性装をする人たちのことです。

トランスセクシュアルとは、性適合手術などの外科手術によって身体的性と性自認を一致させることを望む人や、性適合手術をした人たちのことをいいます。

※クロスジェンダーはエックスジェンダーと呼ぶことが一般的のようです。
※クロスドレッサーもトランスヴェスタイトということが多いようです。どちらもクロスとは限らないため。

【狭義】性自認と周囲から認識される性が異なっている

狭義のトランスジェンダーでは「性自認がまわりから見られる性と異なっていて、身体的な性別の変更は望まない状態や人を表す考え方」をいいます。なので、外科的な手術を望まない人たちが含まれています。

狭義のトランスジェンダーの意味を使う場合、クロスドレッサーやトランスセクシュアルとはわけて示され、広義のトランスジェンダーは、トランスセクシュアル・クロスドレッサー・狭義のトランスジェンダーをあわせたものだと表現されます。

さらなる理解を!トランスジェンダーを表す【MtFやFtM】

トランスジェンダーの話にでてくる用語にMtF、FtMがあります。

  • MtF(Man to Female)
    ⇒身体的性が男性・性自認が女性のこと
  • FtM(Female to Man)
    ⇒身体的性が女性・性自認が男性のこと

FtXやMtXという表現もあり、Xとは「Xジェンダー」のことをいいます。Xジェンダーとは性自認が男性とも女性とも決められないセクシュアリティのことです。Xジェンダーの中でも、日によってかわったり、男性でも女性でもあったりと様々です。

性同一性障害との違いは?広義ではトランスジェンダー

性同一性障害(GID=Gender Identity Disorder)は医学用語で、医師からおりる「診断名」です。トランスジェンダーの中には、医療のサポートをうけることまで望んでいない人もいるので、「トランスジェンダー=性同一性障害」ではありません。

トランスジェンダーは広義の意味を持つ言葉で、性同一性障害もトランスジェンダーの中に含まれます。

【定義】医療行為によって性別変更を望む人のこと

性同一性障害とは、身体的性と性自認の違和感から外科手術やホルモン治療などの医療のサポートを求め病院を受診し、検査や診察によって医師が診断します。性適合手術などの医療のサポートのためには診断が必要です。

性同一性障害と同性愛が混同することがありますが、ご紹介してきたとおりまったくの別の軸です。同性愛は性的指向の話なので、性同一性障害だとしても異性愛・同性愛あるいは両性愛の人もいます。

国際的には「障害」と呼ぶことはおかしいのではないかという声もでていますが、日本では性別変更を望む人たちに適切な医療のサポートを提供するために性同一性障害と診断しています。

どちらで呼ぶべき?当事者自身が決めるもので自由!

性は2つにわかれるものと考えられてきましたが、性とは本来グラデーションになっています。明確な基準があり、「こうすれば男だ」と決められるものではなくなってきました。性は本人がどう感じていてどう生きていきたいかによって自由に決めることができます。

逆に、他人が外から見て判断できるものではなく、例えば異性装をしている人の中には自分の楽しみのためにしている人もいれば、異なる性への表現としてしている人もいます。目の前の人をそのまま受け入れることが大切なことです。

【必読】トランスジェンダーを取り巻く社会問題とは?

トランスジェンダーという言葉はだんだんと社会に浸透してきましたが、まだまだトランスジェンダーを取り巻く環境は課題が多いです。

言葉は広がっても、受け入れる側の社会もどのように接したらいいのか、どのようなフォローをするといいのかがわかっていません。ここでは主なトイレの問題、学校での問題、就職での問題についてご紹介します。

身近なトイレ問題|どちらを使う?考え方と難しさ…

トイレの問題は身近な問題です。自分の自覚している性にあわせてトイレを選ぶと、周囲の人の目が気になり、なかなか入ることができずにいる人もいます。

トランスジェンダーの中には身体的性と認識している性との乖離に苦しんでいる方も多く、自分の感じている性のほうを気軽に選ぶことができなかったりする人もいます。

現在は、「だれでもトイレ」などの設置が進んでいます。トランスジェンダーだけではなく、車椅子で広いスペースが必要な方、オスメイト(病気や事故などにより人工肛門や人工膀胱を使っている)の方、足腰の不自由な方、小さな子供を連れた方などだれもが使いやすいトイレの導入が進んでいます。

「トランスジェンダーにだれでもトイレを使わせることが差別だ」という考え方もあるようですが、トランスジェンダーの人がみんな堂々と自分の思う性のように振る舞いたいわけではありません。誰もが使いやすいトイレがあって、必要とする人がいると考える方が自然ではないでしょうか。

ただ、だれでもトイレがあればトランスジェンダーに対する差別や偏見がなくなるわけでないので、トランスジェンダーの人を受け入れる社会づくりが望まれます。

学校での問題|学生が直面する制服や授業での男女分け

学生の場合、「もしかしたら自分はトランスジェンダーかもしれない」と気づき始める時期であることが多く、そのときに学校が指定する制服や体育の授業・更衣室を強制的に男女にわけたシステムは、悩んでいる人にとっては苦痛です。

自分が望む格好ができなかったり、身体的性にあわせて「男のように振る舞わないといけない」と自分に嘘をついてしまったりと悩み、その苦しさから不登校になることもあります。

最近では、ジェンダーの多様性にあわせて制服のスラックスやスカートを選べるような取り組みも始まっています。

就職での問題|LGBTへの理解を目指す企業が増えている

LGBTの中でも就職となると特に大変なのが、トランスジェンダーです。就職となると、男女どちらのスーツを着るべきか迷う場合や履歴書の性別の欄の記入に困る場合があります。男女二元論に別れていることが意外と多く、結果的に職業の選択肢が狭まることにもつながります。

最近では、LGBTフレンドリーと呼ばれるLGBTに対して何らかの協力的な取り組みを行なっている企業が増え、社内規定や福利厚生などの制度面でLGBTに配慮した制度を取り入れています。例えば、同性同士の事実婚を認めお祝い金を支給したり、性適合手術の休暇があったりします。

気になる!トランスジェンダーについてのQ&A

Q.自分はトランスジェンダーかもしれないと思った時に、どのような場所で相談にのってくれますか。

A.LGBT当事者や家族・友人のための支援団体は全国に数多くあり、そのような場所で相談にのってもらうことがおすすめです。どのような団体か不安だという時は、それぞれの支援団体のホームページを見てみることがおすすめです。気になる団体があれば交流会をしていたりイベントをしていたりするので参加してみるのもいいと思います。

Q.トランスジェンダーであることはカミングアウトしないといけないのですか。

A.相談することもふくめて、トランスジェンダーだと打ち明けることはとても勇気がいることなので、無理しなくて大丈夫です。誰かに相談したいと思った時は専門の機関もありますし、信頼できる家族や友人に打ち明けるのもいいでしょう。もちろん誰にもいわなくても大丈夫です。

Q.テレビで見るオネエと呼ばれるタレントさんたちはトランスジェンダーなのでしょうか。

A.タレントさんの場合はテレビのためのキャラクターという場合もあり、一概に全員をトランスジェンダーということはできません。実際に性適合手術を受けている方もいますし、女装家として活動をしている方もいます。

Q.友達が「自分はトランスジェンダーだ」とカミングアウトしてくれました。気をつけることはありますか?

A.なにも気をつけることはありません。今のままの友達として接していけば大丈夫です。

まとめ|まずは正しい知識を身につけましょう

この記事を読んでいる方のなかには、「自分はトランスジェンダーかもしれない」と悩んでいる方もいるかもしれません。

性は自分を規定する最も大切な部分であり、人と違うと感じると「隠していかないといけない」「ばかにされるかもしれない」と不安に思うことでしょう。

そんなときに助けになるのは、正しい知識です。知識を身につけることは過度に傷つくことから自分を守ってくれます。

生まれ持った性と自分が感じている性が異なることはおかしなことではなく、「自分の場合は違った」のであり、性への違和感に対してどのような選択をとるかは選ぶことが可能です。

まずは正しい知識を身につけ、自分らしく生きるための一歩を踏み出しましょう。

KANTA

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